【裏ワザ】HSA(健康貯蓄口座)を「隠れリタイアメント口座」として使う方法

HSAの最大の魅力は、アメリカのあらゆる投資・リタイアメント口座の中で唯一、「3つの税制優遇(Triple Tax Advantage)」が同時に適用される点にあります。

まずは、通常の401(k)やRoth IRAと何が違うのか、その驚くべき仕組みから見ていきましょう。

HSAはトリプル税制優遇なので、老後資金用の投資としても利用できる。

「医療費に使うなら、結局老後の生活費には使えないじゃないか」と思うかもしれません。ここからが本題の裏ワザ(ステルス運用法)です。

HSAを最大限に増やすためのステップは以下の通りです。

ステップ①:医療費が発生しても、HSAから引き出さない

風邪をひいて病院に行ったり、薬局で処方箋を買ったりした際、HSAのカードで支払うのをグッとこらえ、あえて通常のクレジットカードや現金(手元の生活費)で支払います。

ステップ②:HSAの中身をインデックスファンドで全力運用する

使わずに口座に残ったHSAの資金を、S&P500などのインデックスファンドに投資し、10年、20年と複利の力でじっくり寝かせて増やします。

ステップ③:医療費の「領収書(レシート)」をすべて保管しておく

ここがアメリカのHSA制度の最も素晴らしい(そして少しクレイジーな)ルールです。 「医療費が発生した年」と「HSAからお金を引き出す(払い戻す)年」は、同じ年である必要はありません。

つまり、30代の時に支払った$500の医療費のレシートを大切に保管しておけば、20年後の50代になった時に、HSAから$500をいつでも非課税で引き出して(自分に払い戻して)生活費に充てることができるのです。その間、HSAの中の$500は投資に回され、何倍にも膨れ上がっています。

💡 ポイント: 病院や薬局のレシート、保険会社からのEOB(給付説明書)は、Googleドライブなどのクラウドにスキャンして一生保管しておきましょう。

「健康すぎて、老後になっても引き出せるほどの医療費のレシートがない!」という嬉しい誤算が起きたとしても心配いりません。

HSAは65歳を迎えると、もう一つのリタイアメント機能がアンロックされます。

65歳以降は、医療費以外の目的(旅行、趣味、普通の生活費など)でお金を引き出しても、10%や20%のペナルティ(罰金)が一切かからなくなります。(※通常の所得税はかかります)。

つまり、65歳を過ぎたHSAは、「実質的にトラディショナル401(k)やIRAと全く同じ口座」として使えるようになるのです。もちろん、シニア世代になれば医療費の支出自体が増えるのが一般的ですから、医療費として引き出せば相変わらず完全非課税のままです。

この強力なHSAですが、誰でも加入できるわけではありません。

  • HDHP(高デダクティブル医療保険)への加入が必須 HSAを開設・拠出するためには、職場の医療保険(Health Insurance)を選ぶ際に、免責額(自己負担額)が高めに設定されている「HDHP(High Deductible Health Plan)」というプランを選択している必要があります。
  • 年間の拠出限度額がある HSAに年間で積み立てられる金額には上限があります(IRSによって毎年改定されます)。予算に余裕があるなら、まずは最優先でこの上限(Max out)まで積み立てるのがセオリーです。

まとめ:HSAは究極の「貯金箱」

これまでは「医療費の支払いに追われて損な保険」だと思われがちだったHDHPとHSAの組み合わせ。しかし視点を変えれば、「若くて健康なうちに医療費を自己負担し、その裏で税金のかからない最強の投資枠を育てる」ための切符になります。

もし現在、職場の保険でHDHPを選べる環境にあり、かつ401(k)のマッチング分などを確保した上でさらに投資に回せる余剰資金があるなら、ぜひHSAを「第2の401(k)」としてフル活用してみてください。20年後、30年後の資産の増え方に、きっと驚くはずです!

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