【資産運用の盲点】最強に見える「Roth口座だけ」に投資する5つのデメリット

将来の税金がゼロになるRoth口座は非常に魅力的ですが、金融の世界で最も重要なルールは「卵を一つのカゴに盛るな」です。これは投資先だけでなく、「口座の税金タイプ(Tax Location)」にも全く同じことが言えます。

すべてをRothにしてしまうと、以下のような損を引き起こす可能性があります。

TraditionalとRothのどちらが得かは「現在の税率」と「将来(引退後)の税率」の勝負

Roth口座は「手取り(税金を払った後のお金)」で積み立てるため、今現在の所得税を減らす効果は一切ありません。

アメリカの所得税は、稼げば稼ぐほど税率が上がる「累進課税(Tax Brackets)」です。もしあなたが現在、駐在員、研究者、エンジニアなどとして比較的高いお給料をもらっている場合、Traditional(Pre-tax)口座を使えば、今すぐトップの税率(例:22%、24%、32%など)の税金を合法的に削ることができます。

すべてをRothに入れているということは、その「今すぐ手に入る確実な節税メリット」をすべて放棄していることになります。

これが最も理論的かつ大きな盲点です。アメリカの税制には、誰でも一律で所得から差し引ける「標準控除(Standard Deduction)」という強力な枠があります。

💡 2026年の標準控除(予定見込み額)

  • 独身(Single):約 $15,700
  • 夫婦合算(Married Filing Jointly):約 $31,400

もしあなたが引退し、収入がリタイアメント口座からの引き出しだけになったとします。

  • もしTraditional口座を持っていれば: 毎年、標準控除の枠内(夫婦なら約3万ドル超)で引き出す分には、引き出す時も所得税は「0%(完全にタックスフリー)」になります。
  • もしRoth口座しか持っていなかったら: 確かに引き出し時は非課税ですが、その元本は「現役時代の高い税率」で既に税金を支払済みのものです。

つまり、すべてをRothにしてしまうと、リタイア後に国から与えられる「毎年数万ドル分を完全無税で引き出せる権利」を誰も使わないまま、丸々ドブに捨てることになってしまうのです。

アメリカには、子供がいる世帯への優遇(Child Tax Credit)や、各種教育資金の控除など、所得(AGI:調整後総所得)が一定以下の場合にのみ受けられるベネフィットがたくさんあります。

Traditional口座への積み立ては、あなたのAGIを直接ダイレクトに押し下げてくれます。すべてをRothにしていると所得が高いまま維持されるため、「401(k)をTraditionalにしていれば貰えたはずの給付金や税額控除」を丸ごと逃してしまうリスクがあります。

現在、カリフォルニア州やニューヨーク州など、「州所得税(State Income Tax)」がめちゃくちゃ高い地域に住んでいる場合、Rothへの拠出は「今、高い連邦税+高い州税」をダブルでガッツリ支払っている状態です。

もし将来、リタイア後にテキサス州やフロリダ州のような「州所得税がゼロの州」に引っ越す、あるいは「日本に本帰国する」となった場合: 現役時代にTraditionalで今の高い州税を回避しておき、将来、税金が安い場所(または日本の一時所得控除枠など)で引き出した方が、トータルの税金は圧倒的に安くなります。

「Roth IRA」であれば、自分が拠出した元本(Principal)部分だけであれば、59.5歳前であってもいつでもペナルティなしで引き出せるという抜群の流動性があります。

しかし、会社の「Roth 401(k)」の場合はルールが異なります。 Roth 401(k)からお金を引き出す際は、元本と運用益が「比例配分(Pro-rata)」で強制的に計算されるため、59.5歳未満だと運用益の部分に対して10%の罰金と所得税がかかってしまいます。「Rothだからいつでもタダで引き出せる」と思い込んでいると、会社の口座では痛い目を見ます。

筆者の場合を見てみましたら以下のような内訳になりました。

  • Brokerage:44%
  • Roth:29%
  • Traditional:10%
  • Cash(And equivalent):17%

私はRoth信者なので、全てのリタイヤメント口座はRothにしています。

Traditionalの10%は、旦那の雇先にRothがなかったのでしかたなく。今はでは分散の面でも良かったかな、と思います。

Brokerageが多いのは、やはりRothにはリミットがあり好き放題できないので余剰資金はこちらに行きがちのため。

なんだかんだで分残投資出来ている気がします。

なぜ今Traditionalで税金節約しないのか、というと。

今は収入があって税金払うのも苦ではないですが、将来は収入がないのでなるべく税金を払わないようにしたい。というのが本音です。

💡 結論:賢い投資家は「税金の分散(Tax Diversification)」をする

結局のところ、TraditionalとRothのどちらが得かは「現在の税率」と「将来(引退後)の税率」の勝負です。しかし、20年後、30年後のアメリカの税率がどうなっているかを完璧に予言できる人はいません。

だからこそ、最も賢いアプローチは口座の「ハイブリッド運用」です。

  • 基本の黄金比率: 会社の401(k)はTraditional( Pre-tax)で今すぐ高い税率の所得をガッツリ削り、個人用のIRAは「Roth IRA(またはBackdoor Roth)」で貯める、というように両方の財布を作っておきます。

こうしておけば、将来引退したときに、「標準控除の枠まではTraditionalから無税で引き出し、それを超えて税率が上がりそうになったらRothから引き出して調整する」という、IRS(国税庁)に最も税金を払わずに済む最強の「出口戦略」が可能になります。

「全部Roth」のシングルエンジンになっている方は、ぜひこの機会に、現在のタックスブラケットを見直して、Traditionalとのバランスを考えてみてくださいね!

(免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務や投資判断については、必ず公認会計士(CPA)やファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。)

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